総選挙の表面的総括に終始した6中総

7、反共謀略ビラの問題

 選挙前に大量に全国で撒かれた反共謀略ビラが保守的無党派層と一部の中間的無党派層に影響を与え、総選挙における共産党の敗北に一定寄与したことは間違いない。その点は、私たちも、号外第5号で指摘したとおりである。今回の6中総においても、この謀略ビラ問題については大きく取り上げられ、報告の大きな部分を割いて論じられている。

 今回の総選挙の最大の特徴は、政権与党が政策論争を回避し、日本共産党の躍進をなんとしても押しとどめようと、選挙史上例のない、無法な謀略的手段を中心においた一大反共キャンペーンをおこなったことにありました。
 この影響は、広範で深刻なものでした。党へのあたたかい期待が広がるという流れが、この攻撃がおこなわれるもとで変化し、有権者のなかにとまどいや反応の冷たさなどが広がりました。とくに、党に新しい関心や期待を持ちつつあった無党派層にあたえた否定的な影響は大きなものがありました。

 以上の主張には同意するとしても、しかし、選挙での敗北をこのことにもっぱら帰着させることはできないし、党指導部の責任がそれによって免罪されるわけでもない。党指導部の責任という点については、号外でも述べたように、党としての力量も、情勢の成熟もないもとで、まったくもって時期尚早な政権入りを強く示唆したことが、今回の反共謀略ビラの大量配布にもつながっている。それと同時に、現在の党の体質や過去の歴史に対する党指導部の不誠実な態度が、反共勢力にとっての絶好の足がかりになっていることも指摘しておかなければならない。
 とくに、1970年代における新日和見主義事件における過酷な査問が謀略ビラでも利用されたが、この問題に対する党指導部の立場は、およそ党員が自信を持って反撃することのできないお粗末なものである。いまだにあの深刻な誤りを清算しえず、かといって堂々と開き直ることもできない。赤旗号外の反撃ビラにしても、「査問という制度はない」という信じられないような歴史偽造を平然とやってのけて、この問題を片付けようとした(詳しくは、本号所収の雑録-1を参照せよ)。この反撃ビラについて、志位書記局長は次のように述べている。

私たちは、謀略ビラに反撃し、わが党の値打ちを押し出す「しんぶん赤旗」号外を作製し、広く国民に堂々と真実を伝える取り組みを展開しました。「号外」は謀略ビラの民主主義破壊の卑劣さを告発するとともに、謀略ビラの個々の攻撃の論点にも端的に答えるという道理をつくした内容のものであり、大きな役割を発揮しました。

 「査問という制度はない」などという、誰の目にも明らかな見え透いた嘘をつくことのどこが、「堂々と真実を伝え」「道理をつくした」ものなのか? 結局、この重要問題でまったく国民の納得しえないごまかしを党中央がやったことで、今後とも反共勢力はこの問題を大いに利用してくるだろう。歴史の誠実な見なおしと事件の全貌の全面解明、そして必要な名誉回復と謝罪をきちんと行なうことだけが、この問題での反共勢力の動きを封じることを可能にする。もしそういうことをやるなら、いまだに戦前の侵略戦争や国内弾圧を正当化し擁護しごまかそうとしている反共勢力に対する、日本共産党の道徳的優位性は揺るぎないものとなるだろう。

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