すでにマスコミの報道で周知のように、2000年の総選挙は、与党各党が大幅に議席を減らしながら小選挙区制のおかげで絶対安定多数を確保、民主党は躍進するも政権交代からはなお遠く、共産党は明白な敗北、社民党は大幅な復調という結果になった。
全体として与党の敗北と野党の前進という構図の中で、共産党だけが野党であるにもかかわらず大幅な後退をこうむった。党指導部はこの原因をもっぱら、選挙前に撒かれたいわゆる「謀略ビラ」に求めている。私たちはもちろん、この「謀略ビラ」の問題をいささかも軽視するものではないが、しかし、選挙の敗北の原因を「謀略ビラ」だけに求めるのは、誰の目から見ても一面的であり、党指導部の責任を回避する不誠実な態度でしかない。
もとより、私たちは選挙の結果を機械的に指導部の責任にするものではない。たとえ方針や路線が正しかったとしても、客観的な力関係の中で、選挙で停滞ないし後退することはいくらでもありうる。選挙の結果だけをもって方針の成否を判断するのは議会主義である。たとえば、1993年の総選挙の際、共産党は完全に政権論議のかやの外に置かれ、後退を余儀なくされたが、それにもかかわらず、この時共産党が革新の大義を擁護したことは正しかった。この時の路線の相対的な正しさは、その後の選挙において共産党が躍進を開始し、逆に政権に飲み込まれた社会党が崩壊したことによって、はっきりと証明された。
しかし、今回の敗北には、客観的な力関係や相手側の攻撃に還元することのできない、指導部の明らかな主体的責任が存在する。私たちを含め、少なからぬ人々が憂慮し警告を発してきた党指導部のこの間の右傾化路線がそれである。この右傾化路線が、最も信頼すべき革新的支持層の間に幻滅と困惑を作りだし、それが選挙結果に重要な影響を及ぼしたことは疑いない。保守層の意識に追随することで右にウィングを伸ばそうとした指導部の戦術は、一方では保守側の猛烈な撒き返し(謀略ビラ!)によって挫折し、他方では、本来の基盤である革新系の有権者を裏切ったことで、その完全な破綻を証明した。
私たちは、この号外において、今回の総選挙結果をより詳しく分析するとともに、選挙での後退を生み出した党指導部の右傾化路線の全面的再検討とその清算を要求する。