わが党の常任幹部会は、参院選直後の7月30日の声明で、「選挙結果についての総括は、党内外の意見を十分にくみつくして、つぎの中央委員会総会でおこなうこととします」と述べている。「党内外の意見を十分にくみつくす」ことは当然必要である。そのためには、すでに述べたように、規約で認められている全党討論をただちに組織し、『しんぶん赤旗』に特別討論欄を設けるべきだろう。だが、意見をくみつくして教訓を出すだけではすまない。すでに詳細に述べてきたように、昨年の総選挙と今回の参院選挙は、この3年間における不破=志位指導部の路線に対する歴史的審判である。この事実を正面から受け止めなければならない。
われわれは、来年に臨時党大会を開催し、総選挙と参院選における連続大敗北の徹底した総括を行なうとともに、指導体制そのものを刷新することを要求する。その刷新には、この3年間の指導に責任を負ってきた不破議長と志位委員長の退陣が含まれることは言うまでもない。そして、新しい指導部を選出するとともに、規約を再度全面改定し、昨年の党大会で削られた諸権利を復活するとともに、党内での民主主義的な選挙と意見の表明を日常的に行なえるようにするべきである。党内システムの改変をも含んだ指導体制の抜本的な建て直しなしには、共産党の再生はありえない。さもなければ、コアの基礎票(300~400万票)の水準を上下するだけの現状維持政党になるだろうし、共産党の組織力の低下を考えれば、数年後にはそれさえ維持するのも難しくなるだろう。
もちろん、われわれがめざすべきは、かつての宮本時代のような組織建設中心主義ではない。組織建設の重要性は言うまでもないが、しかし、80年代以降の自足的な赤旗拡大路線は、組織メンバーの長期的疲弊をつくり出すとともに、青年層を遠ざける結果になっただけである。公明党を理想とするのでないかぎり、われわれは別の道を模索しなければならない。そのために必要なのは、1、党内民主主義の抜本的拡充、2、あらゆる場面で大衆闘争・運動に積極的に参加し、その中で無党派や他党派との誠実な協力関係と信頼をかちとること、3、右傾化路線をきっぱりと清算し、護憲と革新の大道を進むこと、4、党のイデオロギー的水準の強化、5、小泉改革が目指す市場主義的で大国主義的で社会・国家像に対抗する新しい社会像を集団的英知と討論を通じて構築すること、などである。
組織建設の分野では、とくに明日の党を担う青年(労働者および学生)の獲得に中心的力点を置くべきだろう。そのためには、民青同盟の再生が不可欠であり、そのためには、民青内部において、批判や討論の民主的雰囲気の醸成(共産党の官僚的スタイルを猿真似したような組織運営は断じて否!)、戦闘的大衆運動への日常的参加(闘う民青!)、マルクス主義の古典学習をはじめとする理論的水準の強化(もちろん批判的、創造的摂取)、世界の人民の闘争に学ぶ国際連帯の精神の発揚、等々が不可欠である(民青同盟については、『さざ波通信』第9号の論文「民青同盟第27回大会の総括と展望」、および、第18号の論文「解体か再生か―岐路に立つ民青同盟」を参照のこと)。以上のことを実現するためにも、民青を指導している共産党自身の刷新が必要である。
最後に、われわれがトピックスで述べたことを、ここで改めて繰り返して、本稿の結びとしたい。
「われわれはこの暗黒の月日の中で、組織と運動の刷新、指導部の刷新、新しい理論と展望の構築という歴史的難事業に地道に取り組まなければならない。われわれは戦後史上、最も護憲と革新の陣地が少ない時点から新たな闘いを開始しなければならない。古い組織原理(官僚的集中制)、無謬を気どる無能な指導部、一国主義的な変革の展望はもういらない。この反動期においてこそ、21世紀にふさわしい組織・運動・理論を築かなければならない。革命の歴史が示しているように、新しい高揚期に指導的役割を果たす組織や指導者は反動期に陶冶されるのである。」