『論座』6月号に、農政ジャーナリストの鈴木俊彦氏の「まだ信を置けない日本共産党”政権参加”への道」という論文が掲載されている。全体としての趣旨は、共産党は最近議席をのばし政権をめざしているが、まだレーニン主義を捨てておらず信用することができない、というものである。
この趣旨を読めばわかるように、この論文は基本的にわれわれとは正反対の方向から現在の共産党を批判している。共産党の昨今の右傾化路線そのものを支持しつつ、もっと進んでレーニン主義を捨て、社会主義も共産主義も放棄せよ、党名も変更せよ、というのがこの筆者の言いたいことである。
鈴木氏の主たる批判対象は共産党の農業政策であるが、それだけでなく、かなり全面的に共産党の綱領的立場や組織構造や体質や世界観に対する批判も試みられている。それらの多くは、ある意味で、右からの共産党批判に共通する内容を有しており、現在の右傾化した世論状況の中ではかなりの普遍性を持っていると思われる。そこで、簡単ながら、その批判のおかしさと不公正さに対してここで反論しておきたい。