この間、休刊があいついだことをお詫びします。
さて、今号の内容ですが、メイン論文は「日本型リベラリズムの変質と有事立法」です。かつて有事立法に大きな警鐘を鳴らしてきたはずのリベラル派のメディアや知識人の多くが、この間、基本的に有事立法制定の必要性を認めた上で、その細部や運用に対する批判的コメントをするにとどまっています。このような「変質」の原因は何なのか、そしてそもそも、リベラリズムというものは戦後民主主義運動との関係でどう理解すべきなのか、といった問題を扱います。現在、戦後民主主義運動は岐路に立っており、その進歩的刷新を実現する上でも、リベラリズムの問題を避けて通ることはできません。
残りの論文は、雑録3本です。1本目は、『朝日新聞』に掲載された抜本的な税制改革案に対する批判です。この改革案が最も露骨な新自由主義的改革案であり、大企業と社会的・経済的強者にとってのみ有利なものであることを明らかにしています。2本目は、この間、日本政治を大いににぎわした政治家の秘書給与制度の問題です。共産党の秘書給与制度が、基本的には、労働者党の原則にのっとったものであることを明らかにしています。3本目は、最近行なわれたフランス大統領選挙の第1回投票の結果を論じたものです。すでにご存知のように、この選挙で、シラクとの決選投票に進むとみなされていた社会党のジョスパンが、極右の国民戦線のルペンに敗北するという衝撃的事実を簡単に分析し、日本政治にとっての教訓を引き出しています。
次号は6月上旬に出す予定です。