周知のように、日本共産党は今年の1月13日から17日にかけて第23回党大会を開催し、1961年の第8回党大会で採択されその後何度か部分改定された綱領を全面改定して、不破綱領とでも呼ぶべき新しい綱領をほぼ満場一致で採択した。この綱領改定については、すでにわれわれは、過去の『さざ波通信』で3回にわたって詳細な批判を行なってきた。その批判の主な論点、および大会前の公開討論で提起されたさまざまな批判に対して、党大会における不破報告でも不破結語でもほとんど説明されることはなく、最終的に確定された新綱領も綱領改定案からごくわずかな修正がなされただけであった。
すでにトピックスで指摘したように、今回の不破綱領の制定によって、61年綱領の確定以来続いてきた日本共産党の革命的・革新的伝統は本質的な点で否定され、日本共産党は社会帝国主義的傾向を色濃くもった改良主義的スターリニスト政党への変転をとげることになった。
そしてわれわれが予想したとおり、日本共産党のこの「改良主義化」「穏健化」「体制内化」によって選挙での成功が実現できるどころか、綱領改定案が大々的に宣伝される中で戦われた昨年11月の総選挙において、共産党は惨敗を喫し、得票数にして1970年代以降最低の水準にまで落ち込む羽目になった。この惨敗にもかかわらず、党指導部は小手先の反省にのみ終始し、1998年以来の不破路線そのものの破綻を認めるどころか、それをさらにエスカレートさせることをもくろんでいる。
党大会以前も、党大会中も、党大会以後も、党指導部と『しんぶん赤旗』はこの不破綱領に対する自画自賛の大キャンペーンを張り、党員の意識をひたすら毒し続けている。綱領は全面改定されてすっかり改良主義化したが、その宣伝スタイル、党内運営の方法はあいもかわらぬ全体主義的スターリン主義である。スターリン主義的手法による党の改良主義化の強行、これこそこの間の不破路線の本質である。
「民主主義」の名のもとにこれまで右から共産党を批判してきた人々、あるいは、党内ないし党周辺にあって今回の綱領改定を自分の望む方向への改定だとして大いに賛意を表明している人々は、今回の改定がまさに最も醜悪なスターリン主義的手法によって成し遂げられたこと、党大会代議員たちが綱領改定案と決議案をひたすら賛美し続けたこと、このことをまともに批判することができない。これらの人々にとって、民主主義の価値など、実際にはほとんど意味も持たないのである。
本稿では、党大会での不破報告および結語に沿って、そこでかろうじて説明されているいくつかの論点を取り上げて、それを一つ一つ批判していきたい。それによって、不破綱領の本質がよりいっそう明らかになるだろう。