皆さんもご存じのように、5月24日、新ガイドライン関連諸法――周辺事態法、自衛隊法の一部改定、日米物品役務相互提供協定の一部改定――が、自自公(一部、民主も)によって参院本会議で強行可決され、成立しました。周辺事態法は、すでに多くのメディアや護憲学者や革新政党によって指摘されているように、「日本の平和と安全に重要な影響を与える」事態につき、自衛隊が米軍の後方地域支援などを実施することを要としており、また、自衛隊のみならず、関係行政機関、地方公共団体、さらには民間施設、団体、個人にまで協力を求めるものとなっています。
自衛隊法の一部改定は、邦人救出の際、自衛隊の艦船やヘリコプターを使用することを可能にするとともに、武器の使用をも認めるものとなっています(この件につき、トピックスの記述に一部不正確な部分がありました)。日米物品役務相互提供協定の一部改定は、新ガイドラインにそって、周辺事態における物品および役務の相互提供を協定に加える内容になっています。
以上の法律はいずれも、アジアの平和を深刻に脅かし、憲法9条を真っ向から蹂躙する違憲立法です。それは、ユーゴ空爆に見られるようなアメリカの無法な戦争に日本を加担させ、日本を再び侵略戦争の当事国にしようとするものです。
国会審議の過程で、自衛隊の出動に関する国会の原則事前承認(ただし緊急の場合は事後承認)条項や、安保の枠内という言葉上の限定が加えられましたが、このような修正が周辺事態法の本質をいささかでも変えるものでないのは明らかです。
周辺事態法をはじめとする新ガイドライン関連諸法の全体像やその政治的背景の全面的な解明については、すでに政治学者や憲法学者たちによってさまざまなすぐれた著作(『グローバル安保体制が動きだす』、『日米新ガイドラインと周辺事態法』など)が出ているので、そちらの方に譲り、ここでは、それらの著作ではあまり取り上げられなかった論点、とりわけ新ガイドライン関連法に対する国民的受容の問題と、日本共産党の綱領問題にかかわる論点(とくに従属帝国主義論)にしぼって、インタビュー形式で論じたいと思います。前編で国民の側の受容問題を取り上げ、後編(次号)で、より一般的な理論問題である従属帝国主義論を論じます。