朝鮮半島担当の元赤旗特派員で、数年前にアメリカの国立公文書館に所蔵されている膨大な資料に目を通して朝鮮戦争の真相を明らかにした著作『朝鮮戦争――金日成とマッカーサーの陰謀』(1993年)の著者でもある萩原遼氏は、つい最近、文春文庫から『朝鮮と私 旅のノート』という著作を出版した。
これは、もともとは、1995年にかもがわ出版から出された単行本を文庫化したものだが、萩原氏は文庫化するにあたって、新たに「第5章 私の旅は続く」という書き下ろし部分を加えている。その中で、萩原氏は、現役の党員という身分にありながら、かなり大胆な共産党批判を展開している。本稿では、この批判部分を中心に紹介しながら、その積極面と消極面を具体的に明らかにしたいと思う。