国民主義的改良主義への変質と統制強化の二重奏――規約改定の意味

はじめに

 今回の規約改定案については、すでに本サイトへのさまざまな投稿や他のサイト上での討論を通じて、かなりの程度、その問題点が明らかにされつつある。今回の規約改定案はまさに全面的なものであるにもかかわらず、どこがどう変更されたのかの一覧が示されていないため、繰り返し現行規約と改定案とを読みくらべないかぎり、どこがどう変更されたのかについてわからないようになっている。規約という最も重要なもの、党における最高の法律というべきものを全面改定するのに、どの部分が変更されたのかさえわからないというのは、それだけですでに、民主主義の最低限の条件を満たしていないと言わざるをえない。
 私たちは、多くの人々の指摘や発見に学びつつ、今回の規約改定案の問題点について、できるだけ網羅的に論じることにした。おそらく、それでもまだ重要な問題がいくつか抜け落ちていると思われるので、今後とも、読者による議論を大いに喚起したい。

『さざ波通信』編集部

目  次

  1. クーデター的な規約改定案の提起
  2. 安直な「簡潔化」は許されない
  3. 規約前文の削除の意味(1)
     ――「前衛政党」の「指導性」は誤解か?

  4. 規約前文の削除の意味(2)
     ――「前衛政党」はなぜ削除されたか

  5. 規約前文の削除の意味(3)
     ――「労働者階級の党」と「国民の党」

  6. 規約前文の削除の意味(4)
     ――「共産党」であるための必要条件の全消滅

  7. 民主集中制とその5つの柱
  8. 党員の権利と義務(1)――「日本国民」規定と市民道徳
  9. 党員の権利と義務(2)――個々の党員の意見表明の禁止
  10. 党員の権利と義務(3)――その他の変更点
  11. 入党に関する諸問題
  12. 離党と除籍に関する諸問題
  13. 第3章「組織と運営」の問題点(1)
  14. 第3章「組織と運営」の問題点(2)
     ――全党討議条項の削除

  15. 第4章「中央組織」の改悪点(1)
     ――民主主義を蹂躙する臨時党大会規定

  16. 第4章「中央組織」の改悪点(2)――その他
  17. 第8章「党外組織の党グループ」の問題点
  18. 第11章「規律」に見られる改悪(1)――処分の要件
  19. 第11章「規律」に見られる改悪(2)――処分の段階と内容
  20. 第11章「規律」に見られる改悪(3)――中央委員の処分
  21. 「積極的な討論」は保障されているか?
  22. まとめ――共産党の歴史を画する大改悪

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